先週の土曜は、横浜関内のストーミーマンデイにライヴを聴きに行った。酒井泰三がリーダーの3355のライヴ。メンバーは酒井(g)、高田宗紀(tt)、ナスノミツル(b)、藤掛正隆(ds)。
 このユニットがコンスタントな演奏活動をするようになって約2年。その2年前あるいは1年前と比較しても、サウンドの方向性がかなりクリアになったなと感じる。なにか、“とりあえずぶち込んだ!”みたいな角張った荒削りな感じがいい意味で希薄になったかな、というような。音楽的に洗練というか、行くべき方向によどみなくエネルギーが流れている。また、ありきたりな言い方になるが、4人のミュージシャンが出てくる音を非常に“聴いている”、そんな風にも思えた。そこで意識的/無意識で選択された音の重なりによって爆音のグルーヴに陰影が与えられている。
 もうあまり使われてないかもしれないけど、よく聞く言葉で“クラブ・ミュージックを通過した音”とかある。言いたいことは分かるが、個人的には「あ、そう。んで?」と問い返したくなる。要するに、「クラブ・ミュージックを通過している」から先端なんだ、「クラブ・ミュージックを通過している」から現代性を持ってるんだというニュアンスなんだろうが、スタイルとしてそれを取り入れている・消化しているから優れているんだなんて考えだとしたら、ある意味ファッションで聴いているようなもんだよな。薄っぺらい。残念ながら、その薄っぺらさそのままなバンドも世の中にはいっぱいいて支持されていたりもする。それをいいか悪いかなんて思うのはもちろん個人の嗜好だからいいんだけど、そんな誰かから与えられた価値観にみんながみんな従順になる必要はないだろうと思う。
 話が思いっきりずれてしまったが、この3355というバンドが追求しているグルーヴには、そういう意味でのスノッブな感覚というのはない。そしてまた、お約束や手癖といったオールドウェイヴ的硬直もない。あるのは、生きたグルーヴに身を投じリアルな音像に骨身を晒す、4人のおっさんの瞬間瞬間のギリギリの姿だ。