皆さんはブルース・スプリングスティーンが好きでしょうか?その1

 来る7月24日(日)、国立ノートランクス(http://notrunks.jp/)にて17時から、ブルース・スプリングスティーンEストリートバンドのサックス奏者で6月18日に亡くなったクラレンス・クレモンズの追悼会が開催される。昨年から始まったノートランクス名物企画で主にジャズ以外のジャンルを中心に一人のアーティストを掘り下げる「極める!」シリーズ、その中の連続講座のひとつ「ブルース・スプリングスティーンを極める!」の特別編だ。解説の音楽評論家・五十嵐正さんは、この「極める!」シリーズのレギュラーで、スプリングスティーン作品のライナーや解説・対訳など数多く手がけている方で、アメリカのロック、フォーク、カントリーなどを中心に評論の執筆と翻訳の仕事を、多岐に渡ってされている。今挙げたアメリカものだけじゃない、幅広い音楽の知識量と分析力は半端じゃなくて、かつ語り口も分かりやすく、毎度この「極める!」シリーズでは圧倒される。日本では数少ないガチ音楽評論家の一人だと思う。

 五十嵐さんのスプリングスティーン仕事のひとまずの集大成として一昨年発刊された「スプリングスティーンの歌うアメリカ」は、スプリングスティーン・ファンは必携というのは間違いないが、その他のロックファン、米国音楽を好む人にも、非常に興味深い内容を持っていると思う。折につけ、僕はこの本を引っ張り出しては読み返し、気になるミュージシャンや音楽の名詞についてネットで検索したりしてるのだが、非常に勉強になるというか、自分の知識の幅が広がる。さきほどは、2006年に発表されたピート・シーガーズ・セッションの項を読んでいた。1930年代のフォークから、日本では名の知られていない現在進行のフォーク系・ルーツ系、ジャズ系のミュージシャンまで、この項を読んでるだけで、俄然興味を湧かせてくれる刺激だらけな内容。もちろんスプリングスティーンに対する認識もぐっと深まる。

スプリングスティーンの歌うアメリカ

スプリングスティーンの歌うアメリカ

 「ネットがあるから音楽評論家なんていらないよ」ということを言ってる人間は世の中にまだまだいるのだが、それはさほど音楽を聴いていない者が吐くセリフ。実際のところは、素人にはできない仕事をちゃんとやってくれてる音楽評論家は少数だとは思うけど、います。五十嵐さんの仕事を見ているとそれがほんとに実感できる。その人たちの発信する的確な情報を参考にして、あとはその都度各々が自分の世界を深め広げていけばよい。(それとそういうちゃんとした音楽評論家・ライターの人には、ちゃんとそれだけのお金が本人に行くようにもしなければいけないとも思う。苦労に見合った報酬がとても行ってるとは思えない、自分の知ってる範囲のことだが。)
 そんなわけで、7月24日日曜日、ノートランクスでの「ブルース・スプリングスティーンを極める!特別編“クラレンス・クレモンズ追悼”」はビッグ・マンの追悼の会であることはもちろんですが、ブルース・スプリングスティーン、そして音楽に対する認識が一段と深まり広がるイヴェントとなるはずです。みんなで行きましょう。