話変わって、先週末、千葉・稲毛まで遠出して、CANDYという店でライヴを聴いた。田中信正(p)&豊住芳三郎(ds)のデュオ。5月にピットインでのソロが素晴らしかった田中信正、自分はようやく2回目の体験。豊住芳三郎は、生で聴くのは初。
 2ステージ、前半は全編即興だと思われる。ドラムのいろんな部分をいろんな方法で触って叩いて、ときには店内に用意してあった梯子までも打楽器にしてしまう(ハナ肇か?)、豊住さん。かつての阿部薫との仕事からこちらが勝手に想像する超硬派なフリージャズというイメージを簡単に覆す、ウワァ楽しいな、という陽性の変態なドラム。
 一方の田中さんのピアノは、論理的・知的な匂い、かつリリシズムも感じさせる。聴いていて思ったが、この人のピアノにはアーシーさやファンキーさという要素が希薄。それでいて弾力の強いバネのようなものも演奏からは感じられて、不思議な感触だ。後半、サティの「ジムノベディ」を演ってたけど、それもジャズ的崩しがない素朴な演奏。豊住さんの鼻歌めいたボイスと混じりあい、静かな空気が流れる。現代音楽の影響とかよくわからんが、ドシャメシャなときでも意図的にジャズの黒いフィーリングを排除しているようにも思える田中信正のピアノは、スリルがある。
 あと、このジャズ喫茶CANDY、かなり雰囲気のある店だと思った。こういうジャズ喫茶然とした店って、実は初めて来たけど、自分のような社交的でない人間にもなんだか居心地の良さを感じさせてくれる。