休み。午後は家を出て西荻に向かう。ラーメン屋で夕飯。駅前のルノアールで40分ほど時間をつぶす。随分と空いている店内で、ずっと朝日新聞を読んでいた。
その後はアケタの店へ。この日は、板橋文夫グループのライヴ。パーソネルは、板橋文夫(p)、片山広明(ts)、吉田隆一(bs)、立花泰彦(b)、翁長巳酉(per)、小池龍一(per)。
アケタのステージ向かって左側には、いろんな打楽器・太鼓関係がドサッとセットしてあり、なんだかそれだけで楽しみになってくる。8時過ぎに板橋さんが登場し、ボソッと話しはじめる。「アメリカ大統領選挙、接戦です!まあケリーが勝ったからと言って大した変わんないかもしんないけどなあ、ケリー頑張れ!ってことでぇ(笑)」、と、「サバンナ」に似た雰囲気のアフリカ的即興が始まる。続いて2曲目も曲名は分からないがアフリカ・シリーズのように思えた。雄叫び・咆哮・うなりをあげるホーン陣とぶ厚いノリの2人のパーカッションとの絡みが、コルトレーンの中期「アフリカ・ブラス」を思いだす。興奮と妖しさの音像。そこに板橋さんのゴツゴツと重いピアノがパーカッシヴにぶつかっていく。3曲めは、これまた泥臭く熱いブルース。片山さんのテナーの艶っぽさがそうさせたのかもしれないが、昭和(高度経済成長期)の歌謡曲の匂いがプンプン。そしてその空気を引き継いで、1セットめラストが「シング・シング・シング」だ。この選曲、スウィグガールズの影響だろうか、まあそんなことはどうでもいいのだが、力技でとにかく楽しかったなあ。
セカンドステージ①②では小池さんがアフリカのどこかの国の民謡を歌う。太田恵資さんがよくやる、なんていうテクニックなんだろう「うぃーーー」っていう発声方法、ああいうのも混じえた熱唱だった。「いま、(魂が)降りてきてたね!」と板橋さんが感嘆。そして、「次はモロッコに行きます」と、モロッコの民謡「サワイェ」(?)。短いフレーズが弾むように繰り返されそこに掛け声が入り、グルーヴをつくっていく。ドシャメシャ状態で大盛り上がりのこの曲の後半はこの日のクライマックスだった。曲終わったかなという雰囲気のところでも、板橋さんにとっては収まりつかないようで、メンバーに「ホラ、もっとお、カモンベイビー!」と叫び(笑)、もう一回ワッショイワッショイが始まったり。
ラストはなんと、レイ・チャールズ追悼の「愛さずにはいられない」!原曲のゴスペル的要素の本質部分をそのまま受け継ぎ、板橋グループバージョンは祝祭的で剥き出しで力強い響きを鳴らした。
特筆したいのが、最後2曲での片山さんのテナー。ぶっといトーンも、ばかでかいブロウも最高なんだけど、僕的には特に片山さんの間(ま)のとり方の素晴らしさが印象に残った。