仕事。ザ・フー熱が冷めやまず、行きと帰りはipodのブラウズを「アーティスト」にして、フーだけを聴いていた。フー熱と言っても、正確には「フーズ・ネクスト」前後というか、その辺りのフーがすごく今は好きだ。思っていた以上にいろんなギターの音色が聴けて、丁寧で凝ったつくりのスタジオ盤も嫌いではないが、ライヴ盤でのボゴンボゴンドガドガンと勢いだけでいってる音の鳴り方がかなり好き。重いビートが躍動する感じ、ドライヴ感、そういったものによってああこんなによかったんだなあフーって、と、なにか再発見させられたような気分。
70年代前半のフーは、60年代中盤のブリティッシュ・ビート然してたときよりもいい意味でおっさん入ってるというか腰が据わっているというか肉体派というか。特に帰りの自転車で聴いた「BBC Sessions」の「Long Live Rock」のやけくそ感は泣きそうになった。「キッズ・アー・オールライト」の最後に流れたのはたしかこの曲だったよなあ。タウンゼント、やっぱいいわ!
どうでもいいけど、僕は先月30歳になったが、まあ思えば、その年月の多くはロックばかり聴いてたわけで、ジャズなんかこの2年ぐらいに学習したみたいなもんだよなあ。染み付いた価値観と感じ方と思考方法はなかなか脳と体からは抜けないようで、それはそれでしょうがないかなあとも思う。ロック、好きだ。
そういえばipodで不意に流れてきたR.E.M.の「ビギン・ザ・ビギン」も素晴らしかった。聴いた瞬間にクールになる。なんだかマイケル・スタイプの頭のよさが自分に一瞬乗り移ったようなそんな錯覚に陥って、頭のモヤモヤが晴れて。もっともそれは曲を聴いてるあいだだけなんだが、しかしその何分か浸れる熱さというのはジャズを聴いてるときに感じられる質のものでは絶対ない。それはどちらが劣っているか、ではない。ロックというのは結論のユニークさで優劣が決まる音楽であり、ジャズとはほぼ反対向きのベクトルを持っているのだ、と、分けのわからないことを書いてみた。