もうひとつライヴの感想だが、先週の火曜日(19日)はアケタの店へ行った。原田依幸グループ。パーソネルは原田依幸(p)と時岡秀雄(ts)望月英明(b)。ゲスト堀切信志(ss)。
個人的には去年の8月に聴いて以来の2回目の原田グループ。最近知ったが、原田さんはライヴは月イチでしかもアケタでしかやらんということらしく、普段は鳶職人を本業としているそうだ。生向委もいろんな分かれ方をしているようだ。
さて演奏が始まり、最近はダンモに合ってるかなあなんて、呑気に構えていた自分の耳がもういきなりがっしりつかまえられた。かっこいい。馴染みやすいリフだとか、バップ的フレーズなんかももちろん出てくるわけではない、それこそアケタさん言うところのテンポもの・コードものなしの純フリーの演奏。しかし突き放し感がないというか、音楽にグイグイ引きこまれる。
繊細なタッチのピアノの温度が急上昇していくときのスリル、そしてそれが頂点に達したときに力強く叩かれる鍵盤の硬質な響きにすごく興奮。望月さんのベースもブウォンブウォン、ドゥィンドゥィンとなんか獰猛で、すごく煽るし。時岡さんのサックスはその中では泥臭さ担当という感じだろうか。原田さんのピアノとのコントラストがおもしろい。
特に原田さんのピアノがそうなのだが、この日聴いた音楽はフリージャズと言っても観念的な世界とはまったく無縁の、ダイレクトにガンガンとこちらの体にぶつかってくるジャズだった。実際2セットあわせて一時間強という短い時間の中で、覚えているだけでも3度ほどブルッ!と自分の体が震えたのだ。