立川行きの電車を駅で待っていて、そこのホームに掲示されているポスターを何気なく眺めていた。
印象に残ったというか、ん?と思ったのが、「ベビーカーで子供を連れた方の乗車マナーについて」という内容の大きな一枚。財団法人・交通道徳協会という団体(こういう団体あるんですね)の意見広告ポスターで、「ベビーカーを押しながら無理に階段を降りないでください」、「ベビーカーを押しながらの駆け込み乗車はおやめください」そんなことがイラストとともに警告的に書かれている。その下にはでかい文字で「ベビーカーの乗車時の管理は、親が自らの責任で!」とこれまたなにか高圧的な印象の一文。
正直、自分が電車に乗ったときに、ベビーカーを押した親のマナーとかほとんど気にしたことないし、自分には子供もいないし、何とも言えない部分もあるのだが、その警告ポスターを見たときに違和感と不快感を強烈に感じてしまった。
先日のミュンヘンとベルリン滞在時は電車によく乗ったんだけど、そこで、ベビーカーを押した親が電車に乗ろうとしたり降りようとしたりするとき、また、一方の腕で子供を抱いて一方の腕でベビーカーを持ちながら親が階段を降りているときなどに、まわりのお客さんがサッと駆け寄りそこに手を貸す場面を何度も目にしたことを思い出す。
件の警告ポスターの、無理な階段の降り方や駆け込み乗車への注意というのは、それ自体問題はないのだが、なんつうんだろうなあ、全体の「道徳」や「マナー」の向上を本気で目指すなら、「ベビーカーを押している方には、すすんで手を貸して下さい!」的なことをメッセージとしてどんどん出したほうがいいと思う。そういう意図がないのかもしれないけど、どうもあの警告ポスターの内容では、子供をベビーカーに乗せて電車に乗る親の立場を狭くしているような、わざわざ乗りにくくさせているようなそんな気がしてならない。