さて、昨日書けなかった国立NO TRUNKSでの久保島直樹トリオについてだが、まずはNO TRUNKSのHP掲示板での告知から抜粋してみたい。

何故彼が無名のままなのか。何故この国ではエヴァンス流の耽美ピアニストばかりが受けるのか?そして、女性とイケ面のジャズマンばかりが何故?ジャズもアイドルと変わらないのか?決してフリーな硬派ではないけれど、彼は光っている。
3月19日(金)vol.117
久保島直樹keyトリオ=是安則克b,藤井信雄ds
寡黙な男の秘めたる情熱が爆発するトリオ。

オーマガトキという素晴らしいジャズレーベルのプロデューサーも務めた店長が熱く押すこのピアノ・トリオ。実は僕はこの店でこのトリオを聴くのは3回目になるが、3回目にしてようやくこのトリオ、そして久保島氏の音楽の魅力がつかめてきたような気がする。
上記の告知の文とはちょっと矛盾するかもしれないが、ビル・エヴァンスがらみの曲も何曲か演奏されて、それもよかった。しかし僕の耳がとりわけひきつけられたのは、この夜演奏された久保島氏のオリジナル。以下3曲だがどれも個性的で熱く美しい。①「オーネット・モンク」、②「サークル・ダンス」、そしてマル・ウォルドロンに捧げた③「マル」。
①はオーネット・コールマン流の奇妙な明るさとドタンドタンと進むリズムにモンク流の変で絶妙な間のピアノが乗っかったりしてという、タイトルから連想したそのまんまの感想であれだが、そんな感じのユニークな曲。②でのミニマルなフレーズが狂乱に達していく様には、こちらも我を忘れて目を見開きブツブツ独り言まで繰り出す始末。で、本当に圧倒的だったのが、最後の曲である③。ドラマチックなメロディのピアノが厚い層をつくるように力強く繊細に弾かれ、ドラムは変則気味ビートで終始ハイテンション。かっこいい。そして、この曲での最大の聴かせ場となった後半での弓弾きソロがめちゃくちゃに素晴らしかったウッド・ベース。曲の構成・展開は複雑ながらも、ストレートに感情を高まらせる楽曲だった。
なんかはまる、この久保島トリオ。今後なるべくこの人たちの演奏は聴くようにしたい。