アケタの開店はたしか7時半だからそれまでに飯を食っとくかと思って、西荻の中華の店で夕飯。7時35分ぐらいにアケタに入ったら、なんと客席は満員状態。さすが板さん、人気あるなあと思いながら端の方のスペースに無理やり座る。
板橋文夫ソロでのステージは、8時ちょっと過ぎに始まり、あいだ休憩を挟んで、11時ごろ終わった。昨年の夏に初めてピットインでのライブを観てショックを受けて以来、今日で5回目の板橋さんのライブ体験だが、ソロは初めて。ピアノソロの傑作「ノース・ウィンド」でのすさまじさを何度も聴いているので予想はしていた。結果、やっぱりすさまじかった。奏法名があるかは知らないが、ドゥダダダダタダダタダダーッと滝のように途切れることなくものすごい勢いで鳴り続けるピアノ、そしてグワッシャーン!ダダーン・タターン!とメロディがぶっ叩かれる。客の多くの人が圧倒されている様子だ。板橋さんのマネージャーと思われる方が、お客さんと終演後話していて、「今日はいっちゃってましたね」と述べていたが、アンコール前の「ナイロビの空」ではアケタの店がほんとに異空間にいっちゃいました。あらためてだが、なんすかね、このすごい世界は。
1ステージの3曲目(サンパウロかな?違うかな)スタンダード「嘘は罪」なんかは曲調からいったらもっと軽快になってもいいのだが、板橋さんの重いピアノはできあいのスウィング感もファンキー感も拒む。音の塊がガツンガツンとこちらにぶつかってきて、そのまま体の中に入ってくる感じだ。帰りの中央線でそのピアノの音がほんとに耳に貼り付いて離れなかった。だからタワレコで買ったモンクのブルーノートの作品も聴けなかった。そこでカバンにいれていたミック・テイラーの79年のソロをCDウォークマンにいれたところ、そのアーシーなサウンド特にスライド・ギターがいい感じにチルアウトとして機能してくれた。