ミシュランマン、モブレー、ベスト

 娘はいたって元気で、毎朝出勤前にドライヤーで髪を乾かしたり歯を磨いたりしている自分のところに、ホフク前進でちょこちょこ近寄ってきたりする。彼女の動くスピードは最近は目に見えて早くなり、テーブルなどのちょっと高いところにも手を伸ばし、そのままガシッと端をつかみながら、立ちあがれるようにもなった。いよいよ危なくて目が離せなくなってきた。もっともそんなふうにだいぶ動き始めた成果か、懸念の肥満は少し解消されてきたようにも思えるのだが、実際は分からん。大丈夫、ハイハイしだしたり立つようになったら必ず痩せるから!っていろんな人は言っているが、ほんとうだろうか。いや、今の、ミシュランマンにそっくりな彼女の容姿は可愛いので全然OKだから、どっちでもいいのだが。
 去年の年末ぐらいまで続いたオーネット・コールマンへの傾倒が一段落して、なんとなく胸にぽっかり穴が空いた状態が1月は続いた。いまは思うところがあって、ハードバップを毎日聴いている。ミュージシャンで言えば、50年代と60年代のハンク・モブレージャッキー・マクリーンを繰り返し、という具合だろうか。自分は変なジャズが好きなほうだと思うので、正直ブルーノートの1500番台や4000番台の定番系ってのは聴けば嫌いじゃないけど、積極的に聴くってほどではない。いや実際どうなんでしょうか、ジャズを聴く際、ブルーノートってどれぐらい聴けばいいんだろうか。そもそもすごく聴かなきゃいけないもんなのだろうか。油井正一がかつてモダン・ジャズの必聴盤として挙げた3枚は、ロリンズの「サキコロ」と、ミンガスの「直立猿人」と、モンクの「ブリリアント・コーナーズ」だよな、ブルーノート入ってないしなー。もうひとつ言えば油井さんの「ジャズの歴史物語」(いまだに読むと勉強になるすごい本)、あれにも「ハンク・モブレー」なんて名詞は一切載ってないないもんな、他の例えばスウィング時代のジャズ・ミュージシャンの名前はたくさん載ってるのに。
 と、そんな偏屈かつ青臭い反発心を持った自分だが、毎日のようにあえてブルーノートの看板の一人であるモブレーやマクリーンを聴いていたら、ちょっとはまりだした。いや、マクリーンはオーネット・コールマンにもすごく影響を受けてる人だし、変なジャズ好きの自分にもけっこうすんなり入ってくるサウンドの作品もあり実は意外でもないのだが、ハンク・モブレーにはまるとはほんと正直思わなかった。いやはまってはないかな・・、いや、この一週間毎日最低2回は「ワークアウト」と「ロール・コール」2曲を聴いてるからな、十分はまっているのだろう。キレまくったときのモブレーはかっこいい、と思う瞬間がちょくちょく訪れる。で、こういう風にモブレーを聴いた後、ロリンズやコルトレーンやオーネットやコニッツやドルフィーやショーターを聴くと、やはりこの人たちの音楽はすげえや次元が違うんだなとまた新たな深い感慨を得ることもでき、そういう感慨の繰り返し?によってジャズの深みにますます足を踏み込んでいくんだなあと実感したりもする。というか、こういうことをやっていると、ジャズしかほんと聴かなくなってしまうのだが、いまは自分はそれでもいいかなとも思う。
 ★遅れましたが、ノートランクスの2008わたしのベストに今年も参加させていただきました!
 →http://notrunks.jp/cdreview/2008best3/2008bestmain.htm
 →http://notrunks.jp/cdreview/2008best3/2008best_goto.htm