終わらない歌

 寝てるときに見た夢が最悪でいきなり落ち込みながら起床。内容としては、「俺は友達がほんといないんだ。休日でも誰からも誘いがないので、フラッとどこか遊びに行くシチュエーションもなく、いや別に昔だったらそんなこといっさい問題なかったんだけど、なんか最近急に俺ってやばいんじゃないか、おかしいんじゃないか?と思うんだよ・・」と妻に切々と訴える夢。

 これが自分の本音なのか?と思ったら、非常にガックリきた。で、そんな夢を見たんだということを出勤前に妻に(夢ではなくリアルに)話しても、彼女は「昨日仕込んだ天然酵母のパンがうまくできた!」ということに夢中で、こちらの話はまったく聞いていない様子。さらに落ち込む。

 まずい、この精神状態では仕事に支障をきたすと、通勤中はコルトレーンの「クルセママ」を聴く。そして原田和典の「コルトレーンを聴け!」を読む。やはり最後の最後はコルトレーンなのだろうか。

 予定外のこともあったりで22時近くまで職場に。結局ジロキチでの酒井泰三バースデイライヴには行けず。

 帰りのipodでは、ウェザーリポート「ライヴ・イン・トーキョー」を聴く。まったく自慢できることではないが、ウェザーはまともに聴いたことがないと言ってよく、特にジャコパスとか特に好きでもなんでもないということもあって(というかほとんど聴いてないのだが)、ある種偏ったイメージを持って積極的に避けていたと言ってもいい感じだった。しかしこの「ライヴ〜」はベースがミロスラフ・ビトウスの頃。この時期のウェザーはよいという話もよく耳にするので、期待を持って臨む。結論、うわ思ってたより全然かっこいい。ビトウスのベースの野太さと強引さが、全体のサウンドに緊張感をもたらし、フリーとかロックとかのいい部分が混沌としながらぶつかりあうエレクトリック・ジャズ。

 家帰ってテレビ見てたら、川上未映子って人が芥川賞を取ったというニュースが流れていた。あれ?この人って、あの人だよな?未映子だよなと驚く。酒井泰三が参加してたということで何年か前に買ったアルバムが家に一枚ある。何曲か参加の泰三ギターはよかったが、正直、未映子の表現になにも魅力を感じなかったので2〜3回ぐらい聴いてハイ終わりだった、たしか。思わせぶりで自意識だけは過剰だけどリアルがさっぱりない「哲学的」「文学的」詩や、表面を個性的な風に繕うことに精一杯で生身の衝動が実際には希薄な歌がもうなんか「ああ、わかったわかった」って感じでまったく退屈だった。

 「あんな歌だからさあ、この小説もつまんないぜ、絶対に、間違いなく。だいたいもっとちゃんとコツコツ勉強して小説書いたりしてる人がいるだろうに、なんでそういう人が賞取れないで、若い女とかそういう話題性(本が売れそうかどうか)だけで賞取らせるんだろうね。終わってるよね芥川賞。馬鹿じゃないかね」と、その受賞作を読んでもいないのに思いっきり決め付けながら、わけの分からん怒りを持って妻に対して毒づいてみたものの、妻は特に俺の言葉にはとりたてて反応せず、何日か前にテレビで見た鳥インフルエンザの危険性のことをこちらに延々と語りかけるのであった。