人は独りになるために

 「つまるところ、アメリカの黒人がアメリカを逃避して生活として未経験のエキゾチックな中近東やインドに憧れるから無理なことになるのではないかと思う。逆にアメリカの地に足を踏みしめたらホンク・ブロー。これが第一線をリードしようとするミュージシャンの作品とは思えない。岩浪君が引用しているパーカーの言葉「ジャズは人間の生き方なのだ」に続く一節「体験しないものが音楽に出てくるはずがない」という言葉をファラオはもう一度噛みしめて、エキゾチックなムード・ミュージックの世界から突き出る努力を必要としよう。」(スウィングジャーナル・1974年5月号、「ヴィレッジ・オブ・ザ・ファラオ:ファラオ・サンダース」の油井正一レビューより抜粋。)
 来たる12月7日の→http://www.cnplayguide.com/stc/CNI12723.htmlのライヴに備え、古澤良治郎三上寛「デレキ」を帰りのipodでずっと聴いていた。このメチャクチャ加減に衝撃。それでも圧倒的に心が動かされるのはなぜだろう。“テクニックとか超越した音楽”という常套句がずっぱりあてはまってしまう表現。この二人の体験から出てきたものが全部音として具現化されている。
 アルバム唯一のバラード「人は独りになるために」に涙が出そうになった。
「人は独りになるために、多くの人と出会うんだろう
人は独りになるために、多くの人と知りあうんだろう
人は独りになるために、多くの人と話すんだろう
鳥が高く空を飛ぶのは、そういう話を聞いてるからだ
鳥が高く空を飛ぶのは、そういう人を見てきたからだ」
(人は独りになるために)