本田さん

 仕事。22時近くまで。昨日・今日は諸事情でクソ忙しい。とにかく疲れた。
 話変わって、3日前、仕事に出る前に支度をしながら何気なく見ていたフジテレビ小倉さんの「とくダネ!」。火曜日はいろんな人の人生を15分ぐらいで振り返る「温故知人」ってコーナーがあるらしくて、そこで本田竹広が取り上げられていた。
 “ジャズピアニストとして順風満帆の人生を送っていた本田さんに突然襲った病魔(脳出血)”、“そこから奇跡的な復活を遂げた驚くべきピアノへの執念”・・・そんな感じの内容。ラストアルバムになった紀尾井ホールでのソロコンサートの映像や20年ぐらい前のライヴ映像などが少し流れたものの、率直に言って本田竹広の音楽性にとりわけ迫るという具合でもない。当然ながらといっていいのか、息子・本田珠也も出てこないし、周辺ジャズミュージシャンも出てこない。冒頭に山下洋輔が一言二言のインタビューで登場ぐらい。まあこういう番組にそれほどのものをそもそも期待すべきじゃないってのは分かっている。いやそれでも司会の小倉が「あの紀尾井ホールのアルバムの最後の演奏聴いてたら、ほんっとに泣けてきたんですよ!」と興奮気味に絶賛してたり(小倉にしては珍しく説得力あった)、わりあいと良心的な内容だったと思うぐらいだ。本田のピアノの音の力からだろうか、いかにもワイドショーっぽい安っぽさ・美談めいたものがない、一種の重さがあった。
本田竹広 紀尾井ホール ピアノリサイタル
 なによりも、日本のジャズに業績を残した人が大きいメディアで取り上げられているってのが自分は単純に嬉しかった。生きている感じが全くしないジャズの評論?誌や、その他音楽批評メディアが単なる怠慢でやっていないことを、マスコミがちゃんとやってるってのも何だか不思議な感じもする。こういう状況を見ると、あれだな一番いらないのは音楽評論誌で、テレビとネットの両極があれば十分だな、そう断言できる。
 と、話が脱線したが、例えばあの感動的だった初台オペラシティでの追悼コンサート、70年代のタイトルの相次ぐ再発、そして今回のようにテレビで取り上げられたり(半年ぐらい前に古舘の報道ステーションでも本田さんの特集やってた)、などなど、今年の日本のジャズを語るうえで、本田竹広の死というのは実は最も重要な出来事なのではないかと個人的には思えてきた。

http://notrunks.jp/cdreview/honda/honda.htm
http://d.hatena.ne.jp/sabio/20060305
http://d.hatena.ne.jp/sabio/20060307