今日の出演は、鬼怒無月トリオ。メンバーは鬼怒(g)・ナスノミツル(b)・外山明(ds)。ナスノさんはこの店初。外山さんは今日を含めて4週連続この店に出演。
 そういえばノートランクスのライヴは先週もギタートリオだったが、今日の音は全く個性が違っていた。振り幅こそはそれほど広くないが、音に迷いがない感じ。弛まない。後で聞いたらこの3人の組み合わせは珍しいとのことで、個人的にはそれが意外だった。
 この日は全編エレクトリックだった鬼怒無月のギター。ハードロック的なリフやブルースのソロやファンクっぽいカッティングを連発しても、この人の演奏は不思議と黒くならない。一発のフレーズに全てを賭けるぜみたいなスタンスではなく、じわじわと音楽をしっかり構築していくタイプ。こちらの暑苦しいギラギラした欲求をサーッとスルーしてしまう音で、ロック命!みたいな雰囲気は希薄。
 同様なことがナスノミツルのベースについても言えて、曲の流れに合わせ凄まじくめまぐるしい展開を見せるテクニックにはほんと圧倒されるが、分かりやすい直情的な熱さはそこにはほとんどなく、むしろそういったものを積極的に避けているのではという印象。
 鬼怒もナスノも、音を無雑作に聴き手に放り出さない。
 それとはある意味対照的だったのが、外山明のドラム。何を今さらだが個人的には初めて発見した、外山さんのドラム、めちゃくちゃ男気がある!シンバルワークのジャズ的黒さ、そして曲のテンションが上昇してきたところでドカーッン!ガコーッン!!とバスドラとスネアが爆発し、音楽そのものをもう思いっきり蹴り飛ばす感じ。ちょっと敵なしかもしれない、外山明
 鬼怒とナスノの2人と外山。そのあいだには線が明確に引かれている。その線の右側と左側を分けるものは男気だなと今日は思った。当然、どちらが良い悪いではなく、その両者の世界観・ベクトルの違いが、絶妙なバランスでスウィングしていたライヴだった。刺激的だった。