今日は林栄一(as)&明田川荘之(p)の演奏。どちらも大好きなミュージシャンだが、この組み合わせのデュオは僕は初めて聴く。
 「アドリブ1700」というバッハ調?の明田川の曲(1700年代にアドリブがあったとしたらどうなるか?という意味でこの曲名らしい)、やはり明田川の曲で、得意の和もの「サムライニッポンブルース」などなど、基本的には変態アケタワールド全開といった様相。ファーストセット最後の“アケタズ・グロテスク”という僕が大好きな激しいフリージャズの曲では、林栄一のアルトの真骨頂と言える、高速の循環奏法、フラジオ、ボギャボギャがたっぷり聴けたし、林のクール派的側面がよく伝わるスタンダードものも演奏されたし、前半に関してはけっこうな充実感あり。
 30分ほどの休憩をおいてのセカンドセット。たしか2曲目のときか、明田川が演奏を突如中断。体調がよくないのか精神的なものなのか分からないが、異例の小休憩が入る。林が「大丈夫?」と、不安顔で声をかけていた。客席にもやや重い空気が漂う。
 もう一度、ステージに2人が戻った後は「クルエルデイズ・オブ・ライフ」。明田川の最近の作品のなかではかなりの名曲と言えるこの楽曲だが、正直、今夜に関してはいまいち覇気がないなと思えた。なんだか明田川さんの行っちゃってる感が希薄で。

 もっともラストでやったエリントンの「Take the “A”Train」、これは良かった。渋谷さんとこでも大西順子のアルバムのときでもそうだったけど、林栄一がエリントンの曲やるときってなんでこんなにかっこよいんだろう。やたら躍動感がある。
 ああこれで終わったかなあと思ったら、変なフレーズをおもむろに弾いて曲をなかなか終わらせない明田川。まあいつもの光景なのだが、今日はなんだか最後にそれが見れてホッとした。
 帰りのipodで聴いていたのは、アーサー・ブライス・トリオの「SPIRITS IN THE FIELD」。かっこいい。
SPIRITS IN THE FIELD
 アルト・サックス、テューバ、ドラムという変則サックストリオの2000年のライヴ盤。70年代ロフト・ジャズの匂いや臭みをちゃーんと保持している無骨な雰囲気。ゆえに自分は好み。
 アーサー・ブライスのどす黒いアルトももちろん最高だが、ブウォンブウォンと勝手きままに鳴ってるボブ・ステュワートのテューバにも痺れた。