アフターダーク

 一昨年に買ってずっと家の押入れに突っ込みっぱなしだった村上春樹の「アフターダーク」を祝日の月曜日にようやく読んだ。駅前にあるルノアールで。
アフターダーク
 本の内容はまあおいといて、ルノアールって僕は好きだ。うらぶれたおっさんがスポーツ新聞を読みながらトーストを食べたりしてるのを見てると、なんとなく和む。その月曜日にいたおっさんは歯の具合がどうもよくないらしく、パンを食べ終わったあとも、ずっと自分の歯に詰まった食べものをチッチッ・チッチ・クッチャ・クッチャと音を立てながら舌で取り出そうとしていた。静かな店内にシュールに響く音。視線をおっさんの方に持ってきたいけど目があったりしたらあれだからと、みんな本や新聞を読んでいるふり。
 音といえば以前びっくりしたのが、中央線の中でなんでか知らんが爪を切ってるおやじがいて、その音がやけにとおりが良かったこと。あれはやばかった。
 話戻って、村上春樹。昨日本屋でちらっと立ち読みした新刊「意味がなければスイングはない」でのウィントン・マルサリスの項を読んでいたら、かなり的確な内容が書かれていて感心した。予想以上に、日本のジャズ喫茶のおやじ的コンセンサスに基づいているんだなこの人のジャズ観は。