新譜を試聴などして

 仕事。帰りに駅前の本屋で立ち読み。森達也の「悪役レスラーは笑う―「卑劣なジャップ」グレート東郷 (岩波新書 新赤版 (982))」を買った。
 昨日は平日だったが休み。都心の方に出た。秋葉原御茶ノ水の周辺を歩き、久しぶりに神保町の古本屋街をまわったりもした。音楽関連、ジャズ関連の本を何冊か購入。
 CD屋にも寄る。時間がちょっとあったから、新譜コーナーをじっくりと見る。輸入盤を適当にピックアップし、試聴させてもらった。最終的に聴いた枚数は10以上。こういう取捨選択時に、自分の趣味というか偏り方がよく分かる。
 まず、フォービートのスタイルだけ踏襲して悦に入ってる若年寄ハードバップや小奇麗なだけのピアノ・トリオ、まったりしたフュージョン、その辺の無臭系音楽は迷わず返却。それにしてもこの類のディスクは思った以上に入荷数が多いようだ。ほんと、ジャズ終わってるかも。
 もっとも、その対極にあると言える、金属音が不規則に鳴り響いてるだけの前衛フリーミュージックも、ローンを抱える身としてはとても金を出そうという対象にはならない。あと、繊細さが多分に欠ける自分の感性には、キース・ジャレットやECM系の音というのも、正直けっこう退屈である。
 人気がかなり定着した北欧系の中でもわりと尖がった人たちの音、例えばジャズランド周辺やポール・ニールセン・ラヴ周辺、そのあたりも分かりやすくてまあ悪かないけど、想定内の音だよなという感も。フューチャージャズやエレクトリックよりも、もっと粘ついたやつを今は聴きたい。大昔のミンガス一派やモンクのような、黒いジャズは今は流行らないのだろうか?
 そんなことを思っていたら、いいタイミングで入ってきたのがこれ→「Towards the Shining Path」。LAFAYETTE GILCHRISTという人の作品。ディビッド・マレイのバンドでも弾いてる若手ピアニストらしい。
Towards the Shining Path
 粗いが、グルーヴ感を伴いながら叩きつけていくピアノは今どきめずらしいまっすぐな豪腕系。ホーン陣のぶっといユニゾンがなかなか暑苦しく煽ってくれるし、楽曲によっては、トランペットやテナーのソロが豪快に迫ってきて、気持ちがよい。好きだわ、この音。
 ダンス寄りのブラック・ミュージックの要素もちょっとあるのか、ドラムとベースが意外に単調かなとも思ったが、それでもこのディスクは買い。というか、けっこうな枚数を試聴した中で買ったのはこれだけでした。