昨日は新宿ピットインに行った。来日している韓国のミュージシャン、ミヨン(p)&パク・ジェチュン(per)に日本の林栄一(as)と井野信義(b)が絡むというライヴ。
 DOMフェスティバルの流れからということもあるのか、副島輝人氏がこの日のステージの司会を務めていた。副島さん曰く、ミヨン&パク夫妻の音楽は韓国のマスコミで最近だいぶ話題になっているらしい(韓国の新しい音楽・芸術として)。おかげで国内でのライヴ観客動員がそれまでの数十人から数百人規模にいきなり一桁多くなったりして、本人たちもけっこう戸惑っているそうだ。例えば現在の日本だったら、藤井郷子&田村夏樹がそうなったらと思えば、イメージしやすいのだろうか。いずれにしても、想像しにくい現象だと思う。(大体この日のピットインお客の入り、かなり寂しかったし。)
 ファーストステージのあたま20分ほどは、ミヨン&パクのデュオ。出だしは、やけにドラマチックというか感傷的なメロディのピアノ。パク氏のパーカッションは先週のDOMで聴いたものとはだいぶ印象が違い、ドッタンバッタン感が希薄だ。中盤からドシャメシャなフリーに転換していき、あとはラストまで爆走。“韓国の先端的フリージャズ”というよりは、現代音楽寄りなフリージャズを韓国でもやる人がいるんだなあという印象。ミヨンさんは佐藤允彦のお弟子さんということで、なるほど納得。
 林&井野が加わった後は、曲の打ち合わせも特にない純然な即興。セカンドセットも。
 自分の曲を演奏しなかったということもあるけど、林さんがこういう古典的・正統派なフリージャズだけをやるのって、意外に久々に聴いたなあと思った。この人のフラジオを聴いたときに胸が熱くなる感覚は、やはり他では経験できない気持ちよさだ。