ノートランクスのライヴ、今日で開店以来200回目にあたるとのこと。この日の出演は、林栄一(as)・片山広明(ts)・不破大輔(ds)・つの犬(ds)。店に到着し、入り口のドアから覗くと、ファーストセット・ラスト近くといった様相。林さんの曲の「ナーダム」が終わるところだった。柿ピーを食べながら休憩時間をやり過ごし、セカンドセットを待つ。

 名勝負は初対決に多い。私も相手も、観客も噂では実力を聞いているが、実際にどのくらいあるのか。私との実力の差はどのくらいなのか、価値判断が、判りにくい所にあり、3者ともそのメジャーを持っていない。また初対決なので、両者とも緊張している。その緊張感に観客はしびれる。
 2番、3番目の試合が名勝負として残らないのは、私も、相手の演技力の世界に慣れてくるからである。また逆に演技力の世界ではなく、得意技が決まってしまうからなのか。新鮮味がなくなってしまう。私も、相手も観客(オーディエンス)も、同じような試合は見たくないと思うだろう。
ジャンボ鶴田修士論文より引用)


 21時半過ぎ、後半の演奏が始まる。
 不破の重いウォーキングベースとつの犬の力技的ドラミングが刻むビートの上で、フロントの2人が泥臭さを前面に出したブロウで煽る。なんというか、単純にいえば非常に60年代的なノリ。または聴きようによってはAEC的にも聴けないことはない。楽しいは楽しいが、ぶっちゃけた話、イマジネーションが刺激されるというよりは、ツボだけは押さえましたぜという感も否定できないかも。
 それでなのかなんなのか、開始から30分ほどして片山広明から「今日の演奏はここまでです」とのいきなりの終了宣言。えー!?という客席のリアクションもあって、結局はその後20分近い時間アンコール演奏があったのだが、なんだか噛み合わない雰囲気。こういうとこで書くのもなんだが、ちょっとガチンコ的殺伐ムードさえ感じられた。
 思いっきり独断的な見方だが、そこにドヨーンと存在していたのは、林栄一的世界観と渋さ知らズ的世界観とのギャップ、もしかしたらそんなものかもしれない。直感的にそう思った。当人たちにとってみれば余計なお世話だろうが、個人的にはそのギャップ、興味がある。。。ような気もする。