出演は、パワートリオ。メンバーは松本健一(ts)、かわいしのぶ(b)、つの犬(ds)。ノートランクスでのこのグループの演奏はおそらく初。何度も聴きたいと思っていながら一度も体験していなかったこのトリオの音、個人的にはものすごく楽しみ。
 松本健一は、2年前アケタ・オーケストラで初めて聴いて、ぶっ飛んだ。そうだ、この前の日記に書いた津村和彦のと多分同じステージだと思う。清水くるみのZEKオーケストラにおけるバリトンサックスの素晴らしく個性的な音も忘れられない。つの犬を最後に見たのは、酒井泰三との野性デュオ。あれも良かったな。かわいしのぶは、長見順のライヴかな?小柄な体ながらもとにかくブンブン引き倒すすげえ豪快なベースという印象。そんな3人の個性、特にかわいさんのベースから予想するに、力技で目の前のものをなぎ倒していくようなある種のロック的でグルーヴ重視のゴリゴリな演奏が今日は聴けるのかなあと、勝手に思っていた。グループ名もパワートリオだし。
 で、ライヴ聴いた結論としては、ジャズの中でも左というかむしろそこ突き抜けて違うジャンルに行ってしまってる音楽、そんな印象。別な言い方をすれば、ジャズの中でも左の方に位置するノートランクスがそこ飛び越えて一瞬、荻窪グッドマンになっちゃったよ!みたいな。フリーミュージックサイドの松本さんがかなり主導の演奏だなあと個人的には思った。つの犬さんはそれほどいつもと違いがないとしても、かわいさんのベースに(こちらが勝手に)予想していたゴリゴリ・ブンブンなファンキーな雰囲気が希薄で。そこが意外だった。
 ・・・話は新潟でのお通夜の日に戻る。無事にもろもろが終了し、葬儀場を出たのが8時過ぎ。ホテルまでマイクロバスで送ってもらい、チェックイン。ロビー前の自動販売機で缶ビールを何本か買い部屋に入る。テレビをつけたら、BSで「男はつらいよ 奮闘篇 [DVD]」(71年)をやっていて、ジーッと見入る。お通夜の後という特殊な状況ってこともあってか、やけに映画全体のトーンというか暖かい雰囲気にジーンとくる。やっぱり、「寅さん」は偉大だ。