キップ、高田、ムーア、未知との

 中古で買ったキップ・ハンラハンの「TENDERNESS」(90年)が最高でリピートリピート。パーカッションのクールな雰囲気というか、4HERO思い出して、「Two Pages」を引っ張りだす。
 買ったりお借りしたりのDVDを、少しずつ見ている。映画鑑賞は苦手とまでは言わないが、2時間も引っ付いてなきゃいけないということがもう面倒くせえやっていうのがどうも先にきてしまって、敬遠しがちだ。そのわりに、2時間サスペンスものとかは喜んで見るのだが。まああれはまったく頭使わなくていいからな。
 で、ここ一週間でDVD3本見た。いずれも思いっきり有名作で話題作。
 ①「タカダワタル的 memorial edition [DVD]」、②「華氏 911 コレクターズ・エディション [DVD]」、③「未知との遭遇 ― デラックス・コレクターズ・エディション [DVD]」。
 ①は友人に借りた。映画公開時も、あるいは先日高田さんが亡くなったときのアンコール上映時も、スルーしてしまっていた作品。1時間のうち半分以上はライヴシーン、という作品内容はやや意外。まあでも高田さんが亡くなった今思えば、ちゃんとしたライヴ映像として残っていて良かったというか。
 実は今まで高田渡の曲ってほとんど聴いたことなかったんだが、あ、これいいな、という曲をこの作品でけっこう発見できた。でもそう思えた曲の作詞がことごとく高田渡じゃなかったことが、個人的にはハイライトかも。他人の詩でも、あの感じで歌われると、それこそ高田渡的世界そのものになってしまう。「値上げ」とか最高。
 ②も映画公開時は、見てない。何を今さらなんだが、一年遅れで考えさせられた。後半の方見てると、アメリカの社会構造はもうどうしようもないのかもなあ、と、暗く重い気持ちになってしまう。結果論だけど、結局は大統領選ブッシュが再選したわけだし。こういう社会派プロバガンダには単純に乗ってしまう自分にはアメリカ国民の考えが理解できない。一年遅れで絶望的な気持ちになった。
 まあ他の国の現状を憂う前に、自分とこはどうかということなんだけど。「テロには屈せず」「テロとの戦い」とか単純で強い響きのフレーズが、テレビで無批判・垂れ流しでリピートされると、なんかそういうもんだなっていうように思考が方向づけられる。テロ対策の名目での愛国者法とかさ、日本でも簡単に通りそうだもんな。
 ③は、ああ見て損したなと久々に思える作品。2時間サスペンスものを見るぐらいのテンションで臨めば良かった。テンポが冗長でかったるい。ただ一点、ラストでの宇宙人との交信(会話)をするシーンのあの音が、なんだかデトロイトテクノっぽく聴こえて盛り上がった。