と、まあそんなこともどうでもいいが、8時近くなったので、店を出てライヴハウス・クラップクラップへ。この日は、酒井泰三(g)&藤掛正隆(dr)のライヴ。なんだか昔から長いこと、なんて感じもするが、実際今みたいに酒井泰三のライヴに頻繁に通うようになってしかも彼の音についての妄想的文章を自分が書くようになったのは、1年前から。時期で言えば早川さんとやってる轟音を聴いてからか、積極的にそうなったのは。
 なんとなく趣向を変えて、これまでの自分の思いのまとめということも含めて、今日はメモ風に。
 ●何回も書いてるが、2年前に初めてこの人の音を聴いたとき、グランジ+エレクトリック・マイルスにおけるジョン・マクラフィンなんて単純な発想した。
 ●自分の世代的価値観(現在30歳)として、90年代初頭のグランジオルタナ的なものと、酒井泰三の音の繋がりって、やっぱり否定できないと思う。いやそれ以上に、あのグランジが正統な発展をしたら実はこういう音になってたんじゃねえの?ぐらいに思ったもんな、泰三さんのギター聴いたとき。今でもけっこうその辺の確信(妄想?)はあったりする。
 ●僕はいわゆるギター・ヒーローものって好きじゃない。やっぱり根っこはパンクだから。しかし引き倒していても酒井泰三のギターって、まったく冗長じゃなくて、感覚的にパンクつまりリアルなんだよな、聴いていて。異物的刺激があるというか。黒いんだけどザックリしている音というか。近藤等則のバンドで、フリクションのレックと長いことやってたしな。
 ●そういえば、雑誌スタジオ・ヴォイス「ポスト・ジャズのサウンド・テクスチュア」に泰三さん、名前載ってなかった。でも逆に全然よかったんじゃないかと思う、スノッブの軽薄な感覚、音楽とはひとつも関係ない「センス」の名を借りた視野の狭い硬直した世界観に引っ掛からないだけでも。むしろ関わらなくてよかったと思うぐらい。
 ●この日のクラップクラップの演奏では、ラストに近い、セカンド・ステージでの「レフト・アローン」が白眉。ジャズ的なアプローチともまた違う、直接的に生々しい音の具現。そう、こういうの弾いちゃうのがやっぱすごいんだ、この人。