本質は発展の過程にこそある

 仕事。雨が降っていたので、バスと電車を使っての通勤。
 週末はとにかく酒を飲んでいた。日曜は昼過ぎから花見に参加(花はまだほとんど咲いていなかった)。
 土曜夜は国立ノートランクスでの月イチ非ジャズ・イベント、今月は「レイ・チャールズ&アトランティック・ソウル」特集。立川新星堂の方が講師DJをつとめられていた。
 全く自慢にならないが、レイ・チャールズのアルバム1枚も持ってない。アトランティック周辺について言えば、オーティスのライヴ盤とかモンタレーのビデオとかは、中学ぐらいんときにすごく好きだった。ブルハのヒロトマーシーがそういう昔のソウルやブルースのことを雑誌のインタビューやラジオで話してたりして、まあそこから興味持って入ったんだと思う、たしか。ブラック・ミュージックが好きだった姉に編集テープを作ってもらったりもしたなあ、そういえば。それこそ、モータウンやアトランティックのスタンダードがごちゃ混ぜに入ったいかにも安っぽいベストみたいな内容だったけど、何回も何回も聴いていた。
 で、現在の30おっさんの自分の興味という点からすると、やっぱり40年代のジャズとR&Bの関係というところに非常に目が行く。黒人音楽の分化の過程というか。だからこの日の特集では、初期レイ・チャールズへの影響という視点で選曲された前半でのジャイヴのグループの音源やナット・キング・コールの音源、そしてアート・テイタム。その辺りがとても刺激的だった。
 ●参考CD→「ブラック・ミュージックの伝統~ジャズ、ジャイヴ&ジャンプ篇
 中村とうようが現在ミュージックマガジンに連載していてるコラムを1ミリもおもしろいと思ったことはないが、オリジナルは30年前に編集されたこのCDについては最高だと思っている。

文化の本質とそのルーツとは別の問題である。出てきた根源にばかり目を奪われては本質は見えない。本質は発展の過程にこそある。発展の仕方に本質が表れる。黒人音楽の本質を知りたければ、そのルーツよりも発展の足跡をよく見つめることだ。そう気づいたからこそ歴史を学ぶ大切さもわかったし、黒人音楽の面白さも本当に味わえるようになった。(中村とうよう・上記CDライナーより)