聴いたもの→①「After Hours」、②大友良英Anode《オープンプライス」、③アマゾンから届いたジェイソン・モランの新譜「Same Mother」、④クレステン・オズグッド「ハモンド・レンズ」(写真)など。
 1941年というまさにスィング〜バップ過度期に録音されたいわゆる歴史的名盤「ミントン・ハウスのチャーリー・クリスチャン」=①でのクリスチャンのギター、ちょっとした感動だった。ジャズのお勉強本で「ビバップ創始者」というふうによく紹介されているギタリストだが、意外に無視してしまっていた。1曲目でいきなり登場する彼のギターのドライヴ感そして音の感触の生々しさ、これはもう瞬間的にきた。例えば形式を重んじるハードバップのジャズギターの、そのスタイルゆえの、味を楽しむところに快感を見つけるみたいなスタンス。それに違和感と物足りなさを感じたら、すぐチャーリー・クリスチャンを聴けばいい。興奮がそこにはある。ジャズ好きと称しながら全く遅すぎるが、個人的に最近では守安祥太郎以来の衝撃をこの音から感じた。ジャズ最高。
 「ユリイカ」での大友さんと菊地さんが参加してる対談(テーマは「ポスト・ノイズ」だっけ?)をちらっと立ち読みしたが、大友さん自身はその中で「自分はノイズ・シーンに属したことは一度もない」と断言していて、へえそうなのなんて思った。ただこの2001年に発表されたCD②を聴いてると、僕のような門外漢的には、こういうのノイズって言うんじゃないのかな?なんて素朴に感じてしまう。直接的な触感としては、ああ気持ちいいなとは確かに思うが、集中しての長時間対応は無理。ちょっとしんど過ぎる。なんつうか、カヒミ・カリィが大好きと言ってる人がこういう大友さんの音楽を好きだと言うのが不思議でしょうがない。ファッションで聴いてるのかな?名前聴きの一種かな?とも訝ってしまう。いや単に俺のセンスがないだけなんだろうけど。とにかくかなり聴き手を選ぶ音楽だとは思うが。
 かなり期待した③、予想外に?な部分もあった。Marvin Sewellがギターで参加して、泥臭いブルース・ロック、あるいはソウル・ミュージック風の曲もやったりしているのだが、そのセンスがいまいち好きになれなかった。モランの重くときどき別世界に飛び出してしまう激しい勢いを持ったピアノは素晴らしい。
 ④は1月に買って何日か聴いて、お、いいかなと思ったものの、それ以来聴いてなかった。このデンマークのドラマー、クレステン・オズグッドのドラムやっぱり大好き。ここでのグルーヴのうねりを聴いたら、雰囲気もののしょぼいクラブ・ジャズは聴けなくなる。このツボを心得たドラミングの絶妙さにはまれば、同じ北欧の話題のドラマー、ポール・ニールセン・ラヴさえも聴く必要はなくなる。かっこいい。