ジャズについてのウダウダ、再び

 ジャズを聴きはじめの頃に障害になるのってどういうところだろう。
It's Snowing on My Piano
 人によっていろいろあるとは思うが、例えば歌がないというのは、ロックやポップスを聴いてそれに馴染んできた人にとっては、たしかに最初の高いハードルではあるだろう。しかし自分に関して言えば、ジャズの前はテクノやエレクトロニカなんかをけっこう好んで聴いてたんで、その部分はOKだった。
 むしろ自分がひっかかったのは、リズムかなと思う。テクノやヒップホップやロックといったダンス・ミュージックがその基にある音に10数年も馴染んできた耳と身体には、ノリで聴けない特にモダン・ジャズは当初かなり違和感があった。だからクラブ・ジャズ好きの人が、近いようでなかなか本丸のジャズに来れないのは気持ちは分かる。自分がそれをクリアーできたのは、なんだろうなあ、もちろん誰々の何を聴いたからというのもあるんだろうが、一定期間の試行錯誤で慣れたというのは絶対あるよな。
 このブログを始めた当初から何度も書いてる「ジャズが好きか嫌いかは100枚聴いてから言え」という後藤雅洋さんの言葉に純粋に従った結果、半年ぐらい経ってジャズが好きになったという、そんな感じ。まあそれは自然じゃないのかもしれないけど。
 同世代の仲のよかった人に数年ぶりに接する機会があって、その人の聴いてる音楽が基本的に前会ってたときとほとんど変化がないことに内心複雑な気分になった。たしか小沢健二渋谷毅と一緒にやったアルバムがめちゃくちゃ好きで、だからジャズにとても興味を持ってるんだって当時言ってたよなあ。でもそこから結局、先に進まなかったんだろうか。僕はそのときは、ジャズになんて全く目が向いてなかった。しかしひょんなことから渋谷毅さんに関しては、それこそ中央線ジャズ経由で好きになっている現在だが。まあどうでもいいか。
 上記の内容と関係ないが、いや関係あるかもしれないが、後藤雅洋さんのいーぐるHPでの日記、おもしろかった。↓
http://www.02.246.ne.jp/~unamas/eagle.html
 自分が音楽の何を聴くか、音楽に何を聴くかという問題。
 これ書きながら聴いてるのは、「It's Snowing on My Piano」。フューチャージャズの代名詞レーベル・ジャズランド主宰のブッゲ・ヴェッセルトフトが97年に発表したピアノ・ソロ・アルバム。アドリブの展開は希薄な、ほとんどシンプルな旋律だけを奏でるだけの表面上は優しく淡々とした演奏だが、ちゃんと耳を向けると彼の生き様が濃く反映されている素晴らしく美しく深いジャズアルバムだと思う。ちょっと泣けた。