自転車に乗りながらipodシャッフルを聴いている通勤時と帰宅時。前者と後者とでは、自分の気持ちや体の状態などは当然違うので、聴き方も違ってくる。
例えば基本的にかったるくだるい朝に阿部薫が耳に飛び込んできたら、早送りするのはもう間違いない。しかしそれがズート・シムズであれば、ゆったりと馴染んで聴き入ってしまう。ATCQ(Qティップ、やっぱいいなあ)やメデスキー・マーティン&ウッドがかかれば、うわ良い!なんて少し元気になるが、エリントンや富樫雅彦がかかるとこれまた早送り。朝は自分の嗜好の保守的な部分、好き嫌いという感覚だけで聴いてしまう傾向がかなりあるようだ。
リラックス度合いが高い夜は、比較的何でも受け入れようという寛容な態度に変わる。「これ意外にいいっすね!」なんていう音楽への発見感はこの帰り道のipodシャッフルで生まれることが多い。
しかし家帰って酒がたっぷり体内に入るとこれまた「好み聴き」の傾向が強まる。ちゃんと聴こうとする自分の耳がアルコールによって鋭く働かなくなってしまう。盛り上がることが第一義的になるのだ。そんなわけで酒飲んでばっかりのここ最近の自宅での夜は、フリクション「軋轢」とマイルス「ビッチェズ・ブリュー」のCD2枚目とアケタさんの新作「パーカッシブ・ロマン」、そんなところがヘヴィーローテーション。


ただオールタイムOKに近いという音楽もあるような気がして、どうやらセロニアス・モンクが僕にとってはそれなのかもしれない。今朝ipodシャッフルから流れてきたモンクとコルトレーンの「I Mean You」(↓に収録されている。)

Discovery - At the Five Spot

Discovery - At the Five Spot

のトレーンのソロのドライヴ感、そしてモンクのピアノの間は、とてもいい塩梅で自分の感覚に届き、帰宅時ipodでの、モンクのソロ「You Took The Words Right Out Of My Heart」(「Alone in San Francisco」)にはゆらゆらジワーッと陶酔させられ。そもそもモンクのピアノというのは、自分が最初に好きになったジャズで、それからかれこれ2年ぐらい経とうとしているのだが、俺、進歩ねえなあと相変わらずながら思う。