そんなこんなで、石川町駅に着いて、寿町の職安前広場まで歩く。到着したときは、もう何組めかのバンドの演奏が始まっていた。会場は思っていたよりも狭いスペースで、ほんとに広場を使ってコンサートやってますよというアットホームな感じ。出店で地元のおじさんやおばさんたちが飲んでたりそのへんに座りこんでいたりという光景はインパクトあったが、徐々になんだか楽しいなあとじわじわテンションが上がってきて、生ビールを2杯一気に飲んだ。
さて、今回のフリーコンサートで聴けることを楽しみにしていたミュージシャンが2組あった。ひとつは友部正人で、もうひとつは酒井泰三だ。
僕がここで日記を書くようになってから何度も出てきている名前だが、この両者が共演ではないけど連続でステージに登場する姿を想像して、数日前からかなり興奮していた。その期待度は言ってみれば、アテネや小川VSヒョードルどころの騒ぎではない。
もう3杯目の生ビールも飲み終わる頃、17時過ぎに登場してきたのが、酒井泰三のグループ「3355」。
酔いがかなりまわってきたということもあったからかもしれないが、泰三さんがギターを弾いてるその姿を見て、音聴いて、なんだか熱いものが自分の中にこみあげてきてしまった。つうか泣けてきた。まわりでは「すげえ!」とか叫んでる声も聞こえたし、「このバンド初めて聴いたけどかっこいいじゃん!」という雰囲気も、かなりあったように思う、主観的かもしれないが。野外の場合、普段のライヴハウスでは味わえない解放感というのはそこに絶対あって、聴く人の感性もなんか幅が出るというか伸び伸びするというか、音楽によってすごいエネルギーが引き出されてしまう。それに加え、寿町というあの町の雰囲気はそれに相当プラスアルファを加えていると思われる。
楽曲的にもこの日の「3355」はかなり狙いばっちりで、祭りという空間でそこに参加した人の精神と肉体をワッショイワッショイさせることに成功していた。単純に言えば、めちゃくちゃ踊れたのだ。DJ高田氏のブレイクビーツ4つ打ちもあったりと先月ジロキチで聴いたときよりも、ストレートな印象。そこにそれぞれの演奏者が絡んでいくのだが、この日は探り感が少なく一気にグルーヴが全開していく。自分に関していえば、ほんとはまった!という感じで踊れたし、周りの人がおんなじようにはまって踊ってる状態を見ながらまたこっちも盛り上がったりという感覚も、なんか久しぶり。クラブ行ってねえもんなあ、最近。
そして、泰三さんのギターソロ、かなり突き抜けていた。なんだろう、ガコーン!という感じで。前述したような、「かっこいい!」という声がこのギターソロで特に多く聞こえてたような気がする。贔屓目なしに(と言っても説得力ないが)、「3355」、今日のコンサートのベストアクトだったと僕は思う。持ってってたよ、かなり。(こちらこちらこちらこちらに素晴らしいレポあります!)
さて、その後のマーガレットズロースの演奏後に彼らに呼ばれるかたちで登場した友部さん。正直、酒がかなりグルグルまわりすぎて覚えてない部分多いのだが、「遠来」はマーガレット・ズロースとやるヴァージョンが最も美しいなあと思う。(こちらに素晴らしいレポがあります)
寿町フリーコンサートのこの雰囲気、なんだか自分の体から抜けそうにない。そして個人的には友部ファンの方や泰三ファンの方といろいろお話をさせてもらったことも、この日の大きい収穫だった。