移動中、自転車に乗りながら聴いていたipodのシャッフルにおいて、チャーリー・パーカー林栄一、田村夏樹と連続して流れたときにはもう興奮した。パーカーは、サヴォイ・コンプリート盤に入ってる「チュニジアの夜」だった。この曲の印象的な導入部分「ダラダダーンダン・ダ・ダ、ダラダダーンダン・ダ・ダ♪」というところでまずこっちのテンションは上がってくるんだが、その後のパーカーのソロがもうすごい。余計なものをバッサリと切り捨てて行くべきところに音が無駄なくグイグイ移動する。ってまあ毎回同じこと言ってるんで、今日はバード最高!あるいはジャズ最高!の一言でいいな。
続く林栄一はソロ「音の粒」のタイトル曲だった。20分以上ある長編で、体に良くなさそうなキシキシキンキンのノイズ的世界の前半から後半は徐々にディープでハードなトーンへ。馴染みやすい旋律はほとんどないが、ほんとに繊細な動きをみせるその音の粒に引き込まれる。最近のECMの作品などでエヴァン・パーカーがエレクトロニクスとの融合によって表現しようとしている音の世界を、林栄一はサックス一本で表現しきっているのだ、というのは大袈裟かもしれないが、後者のほうが今のところ自分にしっくりくるというのは間違いない。
続く田村夏樹は怪作「コココケ」の「コゲナ・アゲナ」。「まだ音が出ていないときに演奏のイメージをみずから規定するのではなく、音が出始めた後の各瞬間ごとに弾かれるべき音を探りだしていく作業こそ、真にジャズ的な態度だ」。かつて加藤総夫という評論家がセロニアス・モンクのピアノソロについて論じた際にそんなことを書いていた。田村夏樹の曲を聴きながら僕の頭を占めていたのはその言葉だった。