帰りのipodから流れてきた曲のうち特に印象に残ったのは、2曲。ズート・シムズマル・ウォルドロン。前者は、「モダン・アート・オブ・ジャズ」(58年)というアルバムの1曲。ズートのテナーはほんとにはずれがない。まっすぐで分かりやすく、しかも楽しい。コルトレーン阿部薫を聴いて圧倒され現実から逃避するというのは、音楽なしでは生きられない人間としての本質的な行為である。しかし同時に社会人的には、時折ズートやジョニー・グリフィンを聴いてすっきりとして元気になることも、日常を乗り切るためのバランスとして必要になってくる。適当に検索をしていたら、ズートに対する思い入れたっぷりの文章を発見

後者のマル・ウォルドロンのやつだが、最初聴いたときは誰の曲かもあるいはどのあたりに属するのかもわからない変な曲だなあという印象だった。ヴィヴラが鳴ったあとそれを追いかけるように変な動きのピアノが叩かれる。そのピアノのリフが繰り返されるうちに、なんだかじわじわはまってくるあたりはもしかしてモンク?かとも思ったが、モンクに比べると、抽象的な言い方だが、その哀しさを携えた響きとメロディにどうも違和感がある。結局、鄯−Podの画面で確認して、マルの「SOUL-EYES」というプレスティッジのベスト盤っぽい内容のアルバムに入った「Dear Elaine」という曲だということが判明。美しくまたユニークな曲だと思う。マルに捧げた曲を熱演していた先日の久保島直樹を思い出したりもした。