みんな信者

仕事は4時半ごろまで。その後立川駅付近の喫茶店で1時間ほど読書。「宿命」を読み終える。700ページ弱というなかなかの分量だったが、けっこうすらすら読めた。
この本の前に読んでたのは、これまたぶ厚い「東電OL殺人事件」だった。イメージ的にはおやじ系ノンフィクションとも言えるこれらの作品を読もうと思った理由は、ブックオフでなんか安かったからというそれぐらい。2作ともあんまり頭使わなくてもよさそうな感じがしたからというのもあるな。
「東電〜」の感想。昼間は東京電力のエリートOL、夜は渋谷で売春婦という生活を何年も送り続け最後は円山町の古びたアパートで殺害された被害者女性のその深い心の闇に迫ると言いながらも、その点に関してはまったく不十分で、満足できるものではなかった。しかし、むしろこの作品のメインになっている容疑者のネパール人男性(昨年最高裁で無期懲役の判決を受けた)が冤罪ではないかという著者の主張と考察は、こちらに迫ってくるものがあった。
よど号事件」実行犯が北朝鮮に渡り亡命した後、労働党チュチェ思想を洗脳され、その後工作員として日本人拉致などに関わっていくという歴史と経過を書いた「宿命」は予想以上に優れた作品だった。国家の陰謀とか裏の世界で暗躍する秘密工作員とか、ゴルゴ13が最近好きな僕にとってはぴったりくる内容でもある。「主体(チュチェ)」という字面とは正反対の、将軍様への無条件の服従と完全なる忠実性を求めるその思想体系。この本を読むとそんなチュチェ思想の本質についてよく分かる。
ワイドショーで北朝鮮の映像を見て「怖い・異様」とか言いながらそれにくらべ自分らの国は自由だよなあとよくわからんが誇って満足している人や、ワイドショーでカルト宗教の映像を見て「怖い・異様」とか言いながらそれにくらべ自分は自由だよなあと満足している人が多いおかげで、日本も全体主義国家に着々と近づけるわけで、かく言う僕も仕事でああ疲れたなあと言いながらネットやってCD聴いて酒飲んで寝てるという毎日なんで無知ゆえに何かに無条件で屈しているという点では、同じなんだよな。
茶店を出た後は、立川で飲み会。職場の人の送別会だった。めちゃくちゃ飲んだ。