友部正人&三宅伸治、「グッドモーニングブルース」

sabio2003-11-27

有休をとる。午前中はほとんど寝ていた。昼飯食べて、家でCDを聴いたり読書をしたり。
ずっと中断をしていたマイルス・デイビスの自伝2巻目をようやく読み進める。60年代黄金クインテットからいわゆるエレクトリック・マイルスへと彼の音楽が大きく変わっていくあたりを今日読んだ。つまりマイルスのキャリアの中でもっともおもしろい時代で、またアメリカ史的にも本当に激動の時代。黒人解放運動、世界的なロック・ムーブメント、コルトレーンの死去、ジミヘンとの出会い。恋も多かった。マディ・ウォーターズなんかのシカゴ・ブルースがエレクトリック・マイルスの音楽に影響を与えているというのもなるほどなあと思った。
松嶋奈々子と福山のつまらないドラマの再放送を見ながら仕度をした後、家を出て向かった先は吉祥寺。友部正人ライブ「言葉の森で・第五回」を観るため。会場はいつものスターパインズ・カフェで今回のゲストは三宅伸治。前半に2人それぞれがソロで演奏し、中盤以降は2人の共演。友部さんのソロは「働く人」から始まり、新曲「石が膨らむあの町」「ある日ぼくらはおいしそうなお菓子を見つけた」「眠り姫」だったかな?新曲よかった。三宅さんはモジョクラブ時代の曲から始まり、エレクトリック・ギター、アコギを使った演奏。熱くポップなブルースといった感じ。自作の詩の朗読もあった。
そして2人の共演がかなり濃かった。この「言葉の森で」シリーズは4回観ているが、内容の濃さでは今日のが一番だったな、時間の長さも含めて。2人ともギターを弾きまくり、唄いまくり、がなりまくる。お互いの曲やディランの「レニー・ブルース」、マーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイング・オン」なんかもやっていた。
その中でも圧倒的なパフォーマンスだったのが、「グッドモーニングブルース」。三宅さんのスライド・ギターがディープで泥臭いリフを鳴らし、友部さんが全身で唄い、叫ぶ。初めて聴いたが、歌詞がすごい。・・・歴史はヒットラーを土の中に埋めただけで、殺すまではしなかったんだ。嫌な君が代をむりやり歌わされ、嫌な日の丸を無理やり掲げさせられる。差別用語を歌って金を儲けようぜ、・・・こういう内容の歌詞なんだが、この曲はメジャーでは出すことが出来なかったそうだ、もちろん歌詞の内容にクレームがついて。それは13年ぐらい前のできごと。僕が思い出すのが元号が「昭和」から「平成」に変わったあの時期だ。僕は当時は田舎の中学生だったが、あのときの異常さは今でも覚えている。「自粛」だとかいうこの息苦しい雰囲気はなんなんだろう、「崩御」で何で無理やり悲しまなければいけないんだろう、と僕は怒っていた。バンドブームで喜んでギターを買ったくせに、ブルーハーツの「平成のブルース」にはなんにも反応しなかった鈍感なクラスメイトたちにもものすごくいらついていた。話がずれたが、友部さんのキャリアの中でこれほどストレートな歌詞の作品も珍しい。それだけにまたインパクトがあった。
他には三宅さんが曲をつけた「渡り鳥」もよかったな。アンコールも2回、最後は2人で「遠来」。3時間近いライブだった。「三宅君とやると不思議と必ず良いコンサートになるんで、楽しいんだよね」と友部さんは言ってたが、ほんとにそのとおりの充実した内容だった。
(写真はグッドモーニグブルースのシングルCDで、友部さんのHPから借りました。)