のなか悟空と人間国宝すごい

sabio2003-09-14

午前はCDを聴いた。夕方からはモノレールで多摩センターに行く。
CDでは明田川さんの「プレイス・エバン」(2002年)や、のなか悟空と人間国宝「オーバードライブ」(写真、97年)で非常に盛り上がる。明田川さんのピアノの叙情性とピンと張りつめた感じにかなり耳が向いた。正統派ジャズと言ったら非常に単純な表現であるし、そんな言葉は意味が無いのかもしれないし、またもしかしたら明田川氏の音楽はそういう枠に収まるものではないのかもしれないが、人間の感情をもっとも繊細にあらわすジャズという芸術を、伝統に忠実にかつ形骸化させずしっかりと守っている明田川氏のポリシーと才能はやはり根本から信頼でき、尊敬できる。
のなか氏のトリオのはすごい、本当に。この作品を聴き終わったあと僕の頭はちょっとのあいだ空っぽになった。スカッとすると言えばたしかにそうとも表現できなくはないが、それ以上にこれ聴いた後はほんとに一瞬思考が止まってしまうのだ。ある分野の表現が本当に突き詰められた場面を脳が体験したとき、こういうふうに思考はしばらく止まってしまうのだろう。音圧と音量に圧倒されそうになるのだが、グイグイ持って行かれるグルーヴとジャズの本質であるアドリブがしっかりと耳に入ってくる。僕が思い浮かべるフリージャズよりももっと泥臭くゴリゴリ・バキバキしていて、ものすごいスピードとパワーとテンション・爆発力はまったく有無を言わせない。6年前の作品だが、今ぜったい聴いておかなければいけない作品だ。