2005ベスト大会、ベックのファースト

 家のCD棚をゴソゴソ漁っていたら、ベックのファースト「Mellow Gold」が出てきて、久しぶりだなと何気なくCDプレイヤーに入れてかけてみた。今さらだが、これ良い。いや、めちゃくちゃ良い。10年以上前、大学2年のときにリアルタイムで聴いたときよりも、なんだか今の方がど真ん中に入ってくる(単に自分の耳が10年遅れているだけか)。
Mellow Gold
 このアルバムについて、“90年代アメリカ資本主義社会の過剰な競争の中で、“俺は負け犬だ”と宣言する無気力なアティテュードが〜”なんて社会学だかなんだか知らんが、音楽とは関係のない理屈を持ち出して語る態度には非常に違和感がある。(ジャズで言えば、“コルトレーンと政治闘争”とかああいうやつ。)
 と言いながらも自分も、“ヒップホップやノイズやフォークなどの様々なジャンルの音楽がごった煮的にぶちこまれて〜”というスタイルのみに着目していて、音楽の本質のところをほとんど聴き逃していた。ほんと、ベックがこんなにリアルなブルースだとは思っていなかった。31歳のおっさんを泣かせ異常に燃えさせてくれるブルース。ベックのキャリアの中でもこのファーストだけは音が風化していない。普遍性を持っていて、そして新鮮。
 話変わって、土曜日にあった国立ノートランクスでの2005ベスト大会。自分も参加。
 http://notrunks.jp/cdreview/2005best3/2005best_goto.htm(新譜・再発ベスト3)
 上記以外では、先週に買った①「Children of the Fire」、②「天元~裂古破今」もかけさせてもらう。この2枚かなり良い。
 ①は昨年再発された74年の作品。ハンニバルは70年代のギル・エヴァンスのオーケストラにも参加していたトランペット奏者だが、でかい音でバキバキ吹き倒す様はほんとに圧巻で、興奮する。同時期の日野皓正とも相当通じるものあり。かなり好みだ。Children of the Fire
 ②の川嶋のサックス・ソロも凄まじかった。太くて、妖艶で、尖がっていて、アナーキーで、でもこちらを包むような優しさや深みがある。この人のライヴ行こう。