到着後、桂花でラーメンを食べ、ピットインには7時45分ごろ入る。今日・明日と林栄一ピットイン2DAYSということだ。今夜のメンバーは林栄一(as)・渡辺隆雄(tp)・井野信義(b)・小山彰太(ds)。名前は失念したが、この編成に途中パーカッションの人が加わった。
 先週の金曜日のノートランクス以来、ipodでは林栄一の音源ばかりを聴いている毎日。プレイズ・モンクものや、スタンダードもの(モナリザ)や、大西順子とこでやってる盤もいいけど、今の自分の気分としては、特に「ホッパーズ・ダック」(ウィズ・古澤良治郎・川端民生)や大友さんと豊住さんとやってる「THE CRUSHED PELLET」が、ばっちりはまる。うわー、林さんかっこいい!と今さらながら圧倒されている。
 今日の林カルテットでは、セカンドセット最初に4人でやったミンガスの「BETTER GIT IT IN YOUR SOUL」がものすごく良かった。ドスの効いた、怖いおやじのジャズという雰囲気。「Mingus Ah Um」の中の原曲で、手拍子に合わせブッカー・アーヴィンがソロをとる部分があるんだが、それと同じようなやり方で林さんが長めのソロを吹くところなんて特に興奮。リー・コニッツのような抑えたトーンが、高音・金属音のフリーキーなトーンにグイッ!と変化し、循環奏法によって急進的なスウィングが続けられていく。
 パーカッションの人が入った何曲かよりも、カルテットの方が僕には刺激があった。分かりやすいポリリズム的編成に基づくものよりも、表面に出ていないリズムを少ない音によって浮かび上がらせていく方法のほうが個人的には好き。林さんの音もそっちの方がものすごく生きてくる。特に今日の場合はそう感じた。パーカッションを入れることで逆にリズムが単調になってしまったというか。
 「癒し系」的な分かりやすい音楽はたしかにつまらない。でも、いかにも前衛を気取った音楽でも糞みたいなのはいっぱいある。絶対化するわけではないが、林さんのサックスを聴いていると、心を直接ガシっと掴まれるような気がする。癒し系や前衛もどきと程遠い、リアルな音だ。自分にとってそう感じられるのはなぜなのか。それを考えるために、こうやって毎日音楽を聴き続けているのだ。