その後、駅前のジャズの店「スワン」へ。清水くるみZEKトリオを聴くため。この「スワン」、自分は初めて来たが、老舗らしい良い雰囲気のジャズ・バー。ピークで30人近くはお客さんいただろうか?それほど広くない店内の客席はとにかくびっしり埋まっていた。 ツェッペリンの曲のみを演奏するZEKトリオのメンバーは、清水くるみ(p)、米木康志(el-b)、本田珠也(ds)。先月のピットインがかなり良かったので、大きな期待を持って所沢まで来た。
 1曲目、「胸いっぱいの愛を」で客席がガツン!とやられる。ハードロック楽曲を冒頭に持ってきて煽るという手法は、昨年のZEKオーケストラのときからのお馴染みの黄金パターン。当然、僕は大好き。くるみさんがパーカッシヴに叩くピアノの低音のうねりと、本田さんと米木さんがつくる轟音のグルーヴに興奮する。この前も思ったが、小コンボのほうがオーケストラよりも音楽的スリル度がやはり高い。
 次の曲(たしか)「レイン・ソング」に特徴があらわれているツェッペリンの白人的ハーモニー感、ヨーロッパ的美学、そういった雰囲気が前半の演奏のわりと多くを占めたのは、なんだか個人的に意外だった。好みゆえのことなのだろうが、ゴリゴリでファンキーでドシャメシャなZEKの衝動的ジャズの世界観に自分の耳は馴染んでいたから。前半ラストに満を持して登場したZEK名物「トランプルド・アンダーフット」は、その点で自分のこれまでのZEK観(というかZEP観?)にピッタリとはまる名演だった。
 そんなことをウダウダ考えながら、迎えた後半。1曲目の「カシミール」でもピンときたが、その2曲あと、(これまたたしか)「ランブル・オン」。これがもうめちゃくちゃに良かった。この日のステージはこれに尽きると言ってもいいかと思うぐらい。ファースト・ステージではクッキリと2色に分かれていた白さと黒さが、ここでは見事に融合している。メロディとリズムが瑞々しさを持ってスウィングしている。
 10月まではこのZEKプロジェクトは休止ということだが、次はどんなスタイルで登場するのだろうか。非常に楽しみだ。