メンバーは酒井泰三(g,vo)、DJ高田(tt)、ナスノミツル(b)、藤掛正隆(ds)。ユニット結成当初は、泰三さんと高田さん以外は流動的だったメンバー構成だが、もうすっかりこの4人で定着したようだ。
 3355を聴くようになってもう1年ぐらい経つが、この日の演奏は個人的になかなか新鮮に感じられた。その理由は主にふたつ。①でかいスピーカーを通すことでターンテーブルの音がはっきり響いたこと。②サウンドは、4つ打ちのミニマル的展開が多かったこと。
 ①について言えば、さすがにジロキチにおいてクラブ並みの音圧とまではいかないけど、バキバキ感は当社比300%以上。その帰結として、DJ高田のつくるビートがこれまで以上に3355のグルーヴの軸になったということは言うまでもない。(そしてこれまで以上に高田さんのフェーダー使いの醍醐味も感じられた。)
 で、②も高田さん主導によるもの。どちらかといえばファンク的な横揺れがその根っこかなと、3355のグルーヴについては勝手に考えていた自分には、なかなか意外な展開と言ってもいい重くディープなハードミニマル的音像。単純に言えば、ヒップホップではなくテクノ。そう、この日の4人のつくりだす音には、どこかデトロイト・テクノのようなストイックで暗い美しささえあった。それは、このバンドの趣の深さ・幅広さを僕に感じさせるのと同時に、実はそこにあるシンプルなコンセプトを気付かせる。つまり、「本物のグルーヴの貪欲な追求」というコンセプトだ。
 と、そんなことは、僕が稚拙な文章を書く前に、酒井泰三のギターを聴けば何よりもすぐ分かる。ビートの上をただなぞるのではなく、グルーヴの向かう先を常に開放させようとする彼のリアルなギターは、いつも一瞬でこちらの全身を掴む。そして「踊れ!」と訴えてくるのだ。