先々週ぐらいに買ったのにそのままにしておいた、チャーリー・ハンターの「ライト・ナウ・ライヴ [DVD]」を開封して観た。
 パッケージでは「8弦ギターのグルーヴマスター」なんて形容されているけど、典型的ないわゆるジャズ系ジャムバンド然とした音の中では、この人のギターはほとんど生きないなあと僕は思う。
 フュージョンの文脈にあるファンクが自分は好みじゃないということがあるにしても、特にこのDVD映像後半におけるクインテット(ギター、トロンボーン、ハーモニカ、テナー・サックス、ドラム)の演奏は何だか気が抜けていて、あまりにジャズ的スリルがなさすぎる。決まりごとで終始しているような、中途半端さがどうにも不満。
 しかし、前半20分ちょっとある、ハンターによるソロ演奏は素晴らしく、画面に食い入った。正統ジャズギターというよりは、たしかに雰囲気的にはファンクやR&Bやラテンの要素が色濃く反映されたギターだ。しかし、いったん波に乗ったときのアドリブの爆発力、つんのめり感を伴った独創的なフレーズ展開は、とてもジャズ的に聴こえる。
 このソロを観てると、ディアンジェロの名作「VOODOO」でのチャーリー・ハンターのあの際立って素晴らしい仕事を思い出す。旧態依然としたフュージョンやジャズよりは、ブラック・ミュージックのイノヴェーターであるディアンジェロのところで弾いてるときのほうがすごく演奏が生きるという事実は、ハンターの資質をよくあらわしているし、また僕が彼に魅力を感じるのもその部分だ。