夕方、ご飯を近くのラーメン屋で食べたあと、自転車で東大和駅前へ向かう。「COO」という店に酒井泰三のライヴを聴きに行くために。この店のオーナーでもある古屋杏子さん(p)と泰三さんとのデュオ。
 80年代中盤頃までシンガーソングライターとして活動されていた古屋さん(現在は結婚して「相原恭子」さん)の20年以上前のアルバム「冷たい水」に、プロとしての駆け出しの頃に泰三さんはギターで参加していたらしい。この「冷たい水」、ジャンルとしてはシティ・ポップスというのかよく分らないが、全体的にロックというよりは洗練されたいい意味での歌謡曲という印象。とにかく曲のセンスがいい。
 古屋さんのボーカルはこの日聴いた限りでもかっこいい。あえて抑えたトーンでソウルを滲み出させるというのかな。すごくクールだ。
 リアルタイムで経験したわけではないので、かなり適当だが、産業化されていく前の良かった時期の日本のポップスの最後の姿がここにはあるのかもしれない。
 さて、その世界観に絡む泰三さんのこの日のギターだが、普段とはかなり違う面が聴けた。そもそも歌モノとの相性ってどんなもんなんだろうという未知数の部分があったが、予想以上にうまーくはめる感じ。轟音もポイントで必然的なかたちでギョワーーーンと出してたし。プロっすね。個人的にはこの日で言えば、名曲「冷たい水」のあのファンキーなクールネス、すごく刺激的だった。