西荻に着いて、飯を吉野家で食べ、その後はライヴハウス・クラップクラップに向かう。酒井泰三のライヴを聴くため。この日は、福島紀明(ds)、シャーリー(ヒューマンビートボックス)と泰三氏によるセッションだ。


クラッチの音やサンプリング、ドラムやベースの音などを人間の声で再現・構築するヒューマンビートボックスって、表現としてのリスク高いんだろうなあと思う。まず手クセ(口クセ?)が他の楽器や機器での演奏よりも、露骨に出てしまう可能性あるもんな。
このシーンの技術開発、あるいは表現としての深まりがどのぐらいのものなのかは、不勉強で見当つかないんだが、シャーリーさんが無機質な音を出せば出すほどバンドの音がおもしろくなって、その辺りが興味深かった。また、(これはセッションのスタイル上やむを得なかったのかもしれないが)ときにラップやボーカルとなってしまういい意味での曖昧さ・あやふやさもありだなと思った。シャーリーさん、ボーカリストとしてもすごくユニークだと思うし。


ファンキーでアーシーでルーズでといういわば黒い要素は酒井泰三のギターの魅力の大きなひとつだともちろん思う。しかし、このギタリストをとても個性的にしているもうひとつの要素が、広い意味での音響派とも言える側面であり、その2つの要素は、例えばこの日のようなヒューマンビートボックスの人やDJの人とやるときに独特なはまりかたをして、なんだかすごい音になるときがある。まさに「エレクトリック」・ギターの本質があるというか。
その音が響く空間にとにかく居たいから、しつこくも彼のライヴに僕は足を運ぶのだ。