「ヨーロッパ型資本主義」ヨーロッパ型資本主義-アメリカ市場原理主義との決別 (講談社現代新書)作者: 福島清彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/10/18メディア: 新書購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (8件) を見る

それはどうでもいいのだが、最近読んで興味深かったのが、2年ぐらい前に出た新書の「ヨーロッパ型資本主義」という本。野蛮なヤンキーとは違って、我々ヨーロッパは長い歴史に基づいた資本主義についての深い思慮のある思想あるいは知恵があるんですよ!という、EUの根本的スタンスがなんとなく分かった。
市場の前に社会の安定が第一義的、あるいは、「公共の福祉こそ最高の掟」。そんな思想が歴史的に根付いているヨーロッパ(特にフランスやドイツ)では、医療や教育や老後の年金などについては、政府が責任をもって取り組むということは大前提の認識なのだ。ヨーロッパの中ではアメリカに近い経済政策(アングロサクソン型資本主義)をとってきたイギリスも、大局的にはEUのその根本思想にすりあわせざるを得ない状況になっている。弱肉強食肯定のアメリカ的・個人主義的な資本主義のありかたは否定する。しかし古典的な社会主義ではなく、社会のために市場をうまく活用し、また市場でコントロールできない分野については政府が積極的に介入していく、「人間の顔をした資本主義」なその考え方って、共感持てる部分多い。
それに比べて、「三位一体改革です!」とかなんだか軽薄なことを言って、本質は社会保障や教育分野への国の歳出をとにかく減らしていきたいだけじゃねえか、という日本政府の政策がほんとにむかついてくるというか、こういうところでもアメリカ大好きなんだなあ日本って、と情けなくて笑えてくる。