いつも天気とちぐはぐなかっこうをして

sabio2003-09-12

午後に有休を取って、吉祥寺に向かう。目的は、タワレコでの友部正人さんのインストアライヴを観にいくためだ。
今年1月に鎌倉で行われたデビュー30周年コンサートが収録されたライブ盤CD「あれからどのくらい」(写真)の発売記念ライブということで、鎌倉での音楽プロデュースを担当したロケット・マツさんもこの日は参加して、デュオによるステージ。店内2Fの狭いスペースに最終的には100人近くの観客が集まったのではないだろうか、とにかく大盛況で、僕は前の方で体育座りをしながら友部さんとマツさんを見上げるかたちでの鑑賞となった。
「ぱっとやってぱっと終わります」とは冒頭での友部さんのMCだが、実際インストアライヴということもあり6曲の演奏で正味40分ぐらいの短い時間のステージで、物足りない感じもあった。しかし内容は濃かった。「こわれてしまった1日」、「遠来」、「横顔」、「6月の雨の夜、チルチル・ミチルは」、「鎌倉に向かう靴」、「働く人」。たしかこの曲順だったと思う。
1、2曲目での友部さんは、ギターのストロークも唄も熱く力強い感じで、観客も圧倒された様子だった。とくに「遠来」の後半部分でのほとんどシャウトに近い熱唱はすばらしく、興奮ものだった。マツさんはこの日はアコーディオンマンドリンを演奏していたが、予想どおりいい雰囲気をつくっていた。マツさんが演奏することで音楽にゆったりした空間ができ、その中を友部さんの唄が魚のように伸び伸びと泳ぐといった感じだ。今回のライブ盤でも友部さんの唄が本当にいい感じで響いている。
この日最後の「働く人」を聴いていて、その歌詞にハッとした。この曲はライブでもCDでも何度も聴いてるのだが、今日その意味が初めて分かった。「手に傘を持っているのは/今日は雨になるってラジオで聞いたから/どんなに空が晴れていても/そんなときは誰もが手に傘を持っている/午後から雪になるって聞いたら/たくさん着込んででかけるわ/いつも天気とちぐはぐなかっこうをして/働く人は街を歩いている」。
ライブ終了後はサイン会で、この日買った「あれからどのくらい」に友部さんのサインをもらった。