友部正人ライヴ

sabio2003-07-23

3連休があって、昨日は仕事で、今日から連続で2日の有休。なんとなく気が抜ける。午前中は何枚かCDを聴いた。その中ではイヴァ・ビドヴァーがかなりよかった。1曲目のギターの音の響きが美しくていいなあなんて思ってその後そのまま聴き入る。
昼過ぎから出かける。電車で吉祥寺へ。いつものように吉祥寺のユニオンで買い物。キャノンボール・アダレイビル・エヴァンスの「ノウ・ホワット・アイ・ミーン?」、リー・コニッツの「テナー・リー」、パーカーの「コンプリート・サヴォイ・マスターズ」、パット・メセニー「シークレット・ストーリー」、スパークス「キモノ・マイ・ハウス」、パーラメント「チョコレート・シティ」を買う。
買い物後は喫茶店で休憩。そこでCDウォークマンで早速パーカーを聴く。ヴォーカルが入ってる曲なんかは一瞬違和感があるが、すごいなパーカー。後藤雅洋さんがこう書いている。「スピード感と音色の味わいにピントを合わせてパーカーのアドリブを聴いていると、そのうちいつかパーカーの身体感覚と、こちらの身体感覚が共鳴現象を起こす不思議な体験に襲われることだろう。これこそが、ことばの綾ではなく、正真正銘、背筋に電気が走るパーカー・ショック、すなわち音が初めてこの世に生まれ出て音楽となるアドリブの快楽なのだ」(「ジャズの名演・名盤」より)。この言ってる意味が本当に分かった。
今日吉祥寺に来た目的は友部正人さんのスター・パインズ・カフェでのライヴを観るためだった。「言葉の森で」という企画の第4弾。毎回一人友部さんがゲストを呼び共演しているのだが、今回は田辺マモルさんだった。
「言葉の森で」というタイトルどおり、アーティストの言葉(詞)に焦点を当てるというのがこのコンサートのテーマになっている。だから友部さんとゲストがそれぞれ自作の詩の朗読をする時間もあったりする。前回は田島貴男さんがゲストで、彼も朗読をしていた。だけど、その前のゲストの鈴木祥子さんは朗読してなかったかな?まあとにかく言葉に注目した企画ということだ。前回の田島さんがゲストのときよりはぐっと客数は少なかったが、今回の方が内容が濃かったと思う。特に今日の最大の聴きどころだった友部さんと田辺さんが歌詞をメールでやりとりしてつくった連歌2曲はかなりおもしろかった。いい意味で自分のいまの気持ちそのまんまをまっすぐな言葉にしてぶつける田辺さんに対して、友部さんは心の深いところから言葉になる前の素材をまず取り出し、それを職人の技で熱を失わせないで美しい言葉に巧みに仕上げるという感じだ。対照的なやり方が分かりやすく見えておもしろかった。
「何でもない日には」から始まった今日の友部さんの演奏は、最近僕が観た中でもかなりテンションが高かった。喉の調子なんかもよかったようだ。前半の友部さんが一人でやった「愛は僕のとっておきの色」〜「僕は君をさがしにきたんだ」。このながれで興奮をしなかったお客さんはいなっかたんではないかと言ったら大袈裟だろうか。この部分、特に「僕は〜」を聴いていて僕の脇と背中と腕からは汗がにじんできた。友部さんが全身で唄う姿はめちゃくちゃかっこよかった。それと新曲なのか、知らない曲だったが、「羽をむしられた鶏が食べられる前にこう言った、『時間には意味がある』」というサビのフレーズの曲、これはいろいろ考えさせられた。会場で「はじめぼくはひとりだった」を買った。