吉野弘志(b)ソロ

うれしい3連休の初日。昼間は家にいて、CDを聴いていた。今日聴いた中では、この前の日曜に買ったポール・サイモンの86年の作品「グレイスランド」が一番良かった。ユニオンの中古ではあまりポール・サイモンは出回ってないような気がする。需要がないのか、たまたまなのか。あとは昨日買ったパスカルズの「こりすちゃん・でおーる」やマイルスの「ブラック・ビューティ」やショーターの「ネイティヴ・ダンサー」。
夜は「アケタの店」へ。今日は吉野弘志(b)ソロ。ウッド・ベースのソロってどんな感じなのだろう?と最初はあまり予想できなかったが、始まると一瞬にして世界に入り込めた。フリージャズ的なインプロヴィゼーションから始まり、そのまま優しい旋律のモンゴルの民謡へ。弓弾きで奏でられる太いベース音が深く大きい世界を作り出す。その後も緊張感のあるステージが続けられる。インプロを中心に、バラードなんかもやっていた。決して定型におちいらず、今夜この場だけの歌をあるいは音の響きを探りだし生み出すジャズ音楽家の凄みがひしひしと伝わる濃厚な時間だ。
1セットめが終わった後ご本人が手渡してくれた9月のコンサートのちらしに吉野さんのプロフィールが記載してあった。そこに「自らの民族楽器としてとらえているウッドベースの可能性を追究すべく・・・」という文章があり、「なるほど『自らの民族楽器』かあ」と考えながら目の前の吉野さんの魂を込めた演奏を観ていたら、バカみたいな言い方だが、自分も自分だけにしかできない表現を何かしていかなければいかんと強烈に思わされた。素晴らしいライヴだった。