Che’-SHIZU

昨日が夜までカラオケだったので力尽き、朝は10時ぐらいまで寝ていた。起きてからは本を読んだり、CDを聴いたりする。村井康司「ジャズの明日へ」をついに読み終える。「67年から現在に至る『ジャズ』の場は、それまであったジャズという音楽を相対化し、さまざまな音楽を分析し、引用することによって成立する段階に至っているのではないか、と僕は考える。それを『フュージョン現象』の時代とでも名づけるのなら、『現代のジャズ』はここ30年ほどの間、『フュージョン』の時代にいるということのなるのではないだろうか」(「ジャズの明日へ」の中の「『フュージョン現象』の時代へ・・・「67年」以後のジャズの変容」の章より抜粋)
夜は、Che'-SHIZU(シェシズ)のライヴを観に吉祥寺のマンダラ2へ行った。メンバーは向井千恵(胡弓.pf.vo)西村卓也(b)小間慶大(g)高橋朝(ds)、ゲストに山崎春美(performance)。ちょっと遅れて店に入ったら、いきなり聴こえてきたのが、向井さんのボーカルによる「渚のバルコニー」。インパクト大。かなり危ういというか幻想的な向井さんのボーカル。バンドの演奏は単純化した表現で言えば、オルタナ、あるいはポスト・ロック。その表現は細工なしの直球勝負なんだが、危険球を直球で投げ込まれたというような感じだ。胡弓のインプロも良かったが、特にこの日は向井さんが唄った楽曲にかなりやられた。後半でやったダブっぽい曲がかなりかっこよかった。亡くなった友人の方に捧げた前半最後の曲での彼女のピアノとバンドが作り出した混沌としているが美しい世界には圧倒された。向井さんは山本精一さんともよくいっしょにやっているらしい。ちなみに吉祥寺のユニオンで向井さんのCDが売られていたが、山本さんや灰野敬二さんなんかと並べられてノイズ・アヴァンギャルドコーナーに置いてあった。僕はそのあたりの音楽は全く詳しくないので、思いっきりいい加減な感想を書きたいが、今日初めてみた向井さんは一言で言えばかなりパンクだった。パンクと言っても今売れている日本の青春歌謡パンクからは何万光年も離れた位置にある重く暗く個人主義的なパンク。さらに感覚的に言うと、ブルーハーツが登場する以前に「パンク」と呼ばれていた日本のアンダーグラウンドの流れにあるロックの匂いが向井さんからはする。